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代表チームから帰ってきたときの彼は、明らかにリズムを崩していた。
リズムを崩しているから、自分の符割が何なのかよく理解できない.私は、K崎を控えにまわした。
K崎はショックだったにちがいない。
私は外国帰りの労をねぎらっただけで、あえてK崎を先発からはずした理由を説明しなかった。
役割意識は、そう急に身につくものではない。
他の選手との連携や状況に応じたポジショニングの変更など、練習を重ねる必要がある。
それに、ほんとうに役割意識を持つためには、チームのために自分は何をやれるだろうと、自分で考える塗裁室がなければだめだ。
だから、私はK崎に何も言わなかったのである。
K崎が私と話し合いたいと思っているのはわかっていた。
私は、タイミングを見計らって、あるときK崎をロッカールームに呼んだ。
そこで、私が彼に言彼は、私の言うことを黙って聞き、「わかりました」と答えたが、心の中は悔しさでいっぱいだったにちがいない。
その気持ちは、私には痛いほどよくわかった。
私にも同じ経験があるからだ。
実力では他の誰にも負けないと思っているのに、試合に使ってもらえない。
これほどつらいことはない。
フラストレーションがたまり、気持ちがどんどん落ち込んでいく。
一流と呼ばれる選手は誰しも経験している。
一流と皆に認めさせるためには、何度も自分の殻を破って脱皮しなければならないが、干されることも脱皮のチャンスのひとつだ。
自分自身をみつめ直し、自分の役割とは何なのか問い直すいい機会なのである。
「今のクロでは、はっきり言ってAントラーズでは使えない。
チームの方針を理解していないし、チームを引っ張る強いパーソナリティのようなものが欠けている。
とにかく今のままではだめだ。
おまえが新しい何か、プラスアルファを身につけたとき、Aントラーズの主軸として、チームになくてはならない存在になるのだ」役割意識のない者がひとりでもいると、組織に危機をもたらすファーストステージ第2節、横浜Fリューゲルスとの一戦.私は、第一戦と同様、K崎を先発メンバーからはずした。
K崎は、何をどうしていいかわからないといった表情でベンチに座っている。
試合の序盤はAントラーズのペースだったが、前半早、私は右足の肉離れを起こしてしまった。
とても試合をつづけられる状態ではない。
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